【もののけ姫】タタラ場に子供がいない訳は?包帯とハンセン病の関係についても

アニメ

1997年公開で、今なお人気を誇るスタジオジブリ作品の1つ、『もののけ姫』。

本作では、中心的な舞台の1つに「タタラ場」と呼ばれる場所があります。

しかし、タタラ場では一切子供が描かれていない理由や、包帯姿が痛々しい病者の詳細について、皆さまはご存知でしょうか?

そこで今回は、タタラ場の設定についてまとめたあと、子供が描かれない理由や病者の背景について解説します!

【もののけ姫】タタラ場に子供がいない訳は?

視聴中に疑問を持った方もいるでしょう。

タタラ場では子供がまったく描かれませんが、一体なぜでしょうか。

そもそも“タタラ場”とはどんなとこ?

引用:もののけ姫 – スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI

タタラ場とは、砂鉄から鉄を取り出す一連の作業を行う場所(昔の製鉄所)のことです。

作中では、製鉄だけでなく石火矢も製造していました。

作中に登場するタタラ場のモデルは、島根県雲南市の「菅谷たたら」といわれています。

現存する唯一のタタラ場です。

作中のタタラ場は、アシタカが「まるで城だな」とつぶやくような様相でした。

出入り口には10人がかりで開ける大門があります。

サンを抱えたアシタカが1人で開けてしまい、皆を驚かせていましたね。

周囲には、外部から敵の侵入を防ぐ針山が張り巡らされています。

また、もっとも大きな建物として、たたら製鉄の中心的作業場である「高殿」もあります。

甲六が「大屋根」と呼んでいました。

他にも居住区や、エボシが「私の庭」と呼んでいた石火矢を作る小屋など、全体は1つの村のようになっています。

当然、多くの関係者が暮らしています。

エボシ御前をトップに据えて、

・牛飼い:牧畜・荷駄を担う職能集団(トキの夫である甲六)

・番子(ばんこ):タタラを踏む女衆(番子をまとめるトキ、アシタカを撃ち抜くキヨ)

・病者たち:社会から差別を受けてきた者たちで、石火矢を製作

・タタラ者:タタラ場に住む製鉄集団で、石火矢を作る小屋へ向かう途中でアシタカが見かけた、鋼を叩く職人たち等

ほかにも石火矢衆など、軍事に関わる者たちも出入りしています。

現実と大きく異なる点の1つに、タタラ場で女性が働いていることが挙げられます。

かつて、タタラ場は女人禁制とされていました。

タタラ場で祀られる神様を金屋子神(かなやごかみ)といい、醜女で女性嫌い、かつ嫉妬深い性格だからだそうです。

しかし作中では金屋子神が一切描写されません。

エボシが戦争で人刈りにあって売られた女たちを買い取り、仕事を与えていることは、タタラ場の大きな特徴になります。

“タタラ場”に子供がいない訳は?

引用:もののけ姫 – スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI

劇場用パンフレットに掲載されたインタビューで、宮崎駿監督は

「男が守らなければいけない女とか、家族の中の女性というふうにしないで、わざと切り離した。本当はタタラ場には子供もいたんでしょうけど、子供を入れるとややこしくなるから、入れなかった。そのうち子供もいっぱい産まれてくるんでしょうけど、今はまだそういう時期じゃないっていう状態のタタラ場にしておこうと思ったから。」

と語っていることがほぼ答えになっています。

もう少し切り込むと、作中の時期は、タタラ場にとってもっとも敵が多い場面の1つだといえるでしょう。

たたら製鉄には砂鉄と木材がかかせません。

そのため、森林を切り山を崩し、もののけたちとは完全に敵対していました。

また同時に、良質な鉄を狙った地侍たち(アサノ公方)とも対立し、ジコ坊率いる師匠連も怪しげな動きを見せていて、人間たちともまったく穏やかではありません。

まだタタラ場そのものができて日が浅いということに加えて、常に緊迫状態にあった全体の雰囲気を壊さないためにも、あえて子供は登場させなかったということでしょう。

【もののけ姫】タタラ場の包帯人間はハンセン病?

もう1つ、ここではタタラ場の特徴として、全身を包帯で巻いた病者の背景を解説します。

作中では病気の詳細に一切触れなかったため、気になった方も多いのではありませんか?

タタラ場で包帯を巻く人はハンセン病?

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タタラ場で包帯を巻いている人はハンセン病患者だといわれています。

その理由は、宮崎駿監督本人の口から語られました。

2016年の国際会議「ハンセン病の歴史を語る 人類遺産世界会議」での講演です。

(監督)「もののけ姫という映画を作りながら、ハッキリ業病といわれた病を患いながら、ちゃんと生きようとした人たちのことを描かなければいけないと思ったんです」

当時のニュース番組でも取り上げられました。

「生きろ」というキャッチコピーと、直接的なつながりが感じられますね。

業病とは、「前世の悪業の報いによって起こるとされる、なおりにくい病気」(業病とは – コトバンク)のことです。

そもそもハンセン病とは、蔑称的に「癩病(らいびょう)」とも呼ばれ、らい菌が鼻や気道を主経路として感染します。

しかし、感染力は非常に低いことがわかっており、現在では治療法も確立されています。

主な症状は末梢神経障害と皮膚症状、2次症状として脱毛等です。

外見上の特徴や伝染性が強いという誤解から、日本でもハンセン病患者は長らく差別されてきました。

作中の病者が包帯を大量に巻いていたのは、皮膚症状が生じた患部を覆うためであり、変形してしまった身体を隠すためでもあるでしょう。

同時に、全身を包帯で覆われた姿は非常に特徴的で、私たち視聴者に注目させる意図もあったかもしれません。

ちなみに作中終盤、病者の女性がシシ神の風を浴びたあと、包帯が取れて病が治っていると思しき描写があります。

監督はここに、不遇な人生を送ったすべてのハンセン病患者に対する弔いの意味を込めたのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は、スタジオジブリ作品『もののけ姫』の主要な舞台である「タタラ場」で、子供が描写されない理由と、病者の背景を解説しました。

・タタラ場は「菅谷たたら」がモデルとされており、城のような構造と、女性も働いていることが特徴である

・タタラ場はできて日が浅く、外敵も多かったことから、緊迫状態を壊さないために子供を描写しなかった

・病者たちはハンセン病患者で、患部を覆い、変形してしまった身体を隠すために全身を包帯で巻いていた

演出という監督の技と、テーマに関わる現実問題を取り上げようとする監督の気概を感じずにはいられませんね。

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