惡の華に出るボードレール作「悪の華」のあらすじと内容を解説!元ネタや原作についても

映画・アニメ
押尾修造さん原作の漫画「惡の華」。
 
絶望をテーマにした、思春期特有のモヤモヤした気持ち。
 
そして、自我の行方を描いた青春漫画になっています。

作品名は、漫画内にも出てくる、シャルル=ボードレール作「悪の華」に由来するもの。

実際の元ネタとも言える「悪の華」はどんな作品なのでしょうか?

そこで今回は、作品のタイトルにもなった、ボードレール作「悪の華」の内容や原作と、漫画の違いなどについて解説していきます!

ボードレールとは:フランスの詩人

「悪の華」の著者でもあるボードレールはフランス出身の詩人。

彼は、18歳の時に周囲の文学青年たちと放蕩な生活を送るようになり、将来を案じた継父によって、インド旅行へと追いやられ、途中の寄港地に滞在した後、フランスへ帰国。

父が残した遺産の半分近く使い果たしたし、母親が準禁治産(見境なく財産を浪費したり借財をしたりする癖がある者)の訴訟を起こされ、借金に苦しむ悲惨な生活が死ぬまで続きます。

その後、ボードレールが詩人として有名になったのは、書き溜めてきた詩篇を詩集『悪の花』(Les Fleurs du Mal)として出版した1857年になってからのこと。

しかしその詩集も風俗壊乱の罪(世の中の健全な風習やしきたり、習慣などを壊し乱すこと)として、罰金および全101篇中6篇の削除が命じられました。

そんな悲惨な生涯においても、ボードレールは絶えず「美しさ」と「新しさ」を模索し続けたました。

そんな彼の生き様と、そこから生まれた詩句の数々は、象徴派をはじめとした後世の詩人たちに、比類ない影響を及ぼし、フランス近代詩の源流となったのです。

悪の華の内容やあらすじについて

「悪の華」はボードレ-ルが発表した唯一の韻文詩集。

その初版が出たのは1857年、ボードレールが36歳のとき。

「悪の華」初版は、序詩のほか100篇の詩を収めており、うち52篇は未発表のものだったとのこと。

この初版は、次のような構成のもとに詩を配列されていました。

  • 「憂愁と理想」
  • 「悪の華」
  • 「反逆」
  • 「ワイン」
  • 「死」

上記でも少し触れましたが、詩集の中にある6篇の詩について公序良俗違反を問われ、詩集は出版禁止、さらに、ボードレール自身は300フランの罰金刑に処せられました。

その後、1861年2月には、ボードレールは初版から問題の6篇を削除。

新たな詩32編を加えて再版を刊行し、今日流通している「悪の華」の決定版となっています。

この決定版については、初版にあった5つの小題は6つに増やされており、「パリ光景」が加えられています。

ボードレールの死後、未発表のものなどを加えて、第三版ともいうべきものが刊行され、その際、再版で除かれた6篇の詩も、「受刑した諸篇」と題して収められています。

では続いて、映画や漫画原作「惡の華」では、あまり触れられていない詩の内容について、「悪の華」の翻訳の一部をご紹介していきたいと思います!

翻訳の一部:破壊

絶えず私の隣で悪魔が動いている。
触れることのできない空気のように、私のまわりを泳いでいる。
私が彼を飲み込むと、彼が私の肺を焼き、
永遠の罪深い欲望で満たすのを感じる。

時々彼は、私の芸術に対する絶大な愛を知ってか、
女性の中でも最も魅惑的な容姿をとってみせる。
そして偽善者じみた見栄えのいい口実で、
私の唇におぞましい毒薬を教え込む。

そうして、彼によって私は神の目から遠ざけられていく、
息を切らし、疲労に打ちひしがれて、
深く、ひと気のない憂鬱の平野のただ中で。

そして彼は困惑で溢れた私の目の中に、
擦り切れた衣服や、開いた傷口や、
破壊の血を流す装置を投げ込む。

翻訳の一部:猫たち

熱狂する恋人たちも 謹厳な学者どもも
壮年の頃ともなれば 等しく猫を愛す
やさしくも力強く 家の誇りたる猫
主人同様冷え性で 動くのが嫌いな生き物

学問の友にして快楽の友
沈黙と恐怖の闇を追い求めるもの
もしもおとなしく従うならば
エレボスも冥界の伝令にしただろう

彼らが物思いに耽るときの姿は
孤独の底に横たわるスフィンクスのようだ
果てしない夢にまどろむかのような

その豊穣の腰には魔法の光線が発し
その神秘の目には 砂粒の如き
黄金の破片が 鈍く光る  

惡の華に出てくる「悪の華」元ネタや原作との違いについて

アニメ「惡の華」では主人公の春日高男は物語の冒頭で堀口大學訳の「悪の華」(講談社文庫)を読んでいるが 、実際の堀口大學訳の「悪の華」については、講談社文庫出版ではなく、新潮文庫の出版となっています。
これは、コミックス版の「惡の華」の出版元が講談社になっているため、講談社文庫と変更されたのだと考えられます。

また、表紙の挿絵に関しても、実際のものとは異なっており、コミックス用に考えられた挿絵になっていると考えられ、作品の細部までこだわっていることが感じられます。

まとめ

  • ホードレールはフランスの詩人で、詩集「悪の華」を機に有名に。
  • 借金などの悲惨な人生を送るも、「美しさ」と「新しさ」を模索し続け、象徴派をはじめとした後世の詩人たちに大きな影響を与えた人物。
  • 「悪の華」の初版は「憂愁と理想」「悪の華」「反逆」「ワイン」「死」から構成。
  • 第2版で「パリ光景」、第3版で「受刑した諸篇」が加えられ、現在の完成形となっている。
  • アニメ「惡の華」の主人公・春日高男が持っている本「悪の華」はコミック版に作られたオリジナルのもの。

押尾さん原作の「惡の華」はボードレール「悪の華」に負けないくらい人間の官能的な部分や醜悪な部分を余すところなく描かれている作品になっています。

一度ボードレール作品を読んでから、再度漫画やアニメを味わってみるとより、深い視点で押尾さんの作品を味わうことができるかもしれません。

悪の華 (新潮文庫)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメント

  1. クソムシ より:

    「機」位漢字で書きましょう

    • SHO_KICHI より:

      細かいところまで読んでいただいて、ありがとうございます!
      ご指摘いただいた部分は、訂正したいと思います!

タイトルとURLをコピーしました